
朝6時、痛みで目がさめボルタレンを飲む。夕べ下剤を飲み少し便意を感じるが
出そうな気がしない。トイレに行ってみるが、ガスが少々出るのみ。痛みがきつい。
7時の検温時、看護婦さんが患者の様子を聞いて回る。戦友さんに聞いている。
「便出ました?」
「明け方少し。」
うぉ、戦友さん出たんだ。俺は出てない。
「便出ました?」
俺が聞かれる。
「いいえ。」
「え、まだですか。お腹が張って苦しいとか、お尻が痛いとかないですか?」
「少し張ってます。お尻は凄く痛いです。」
「そうですか、じゃぁ、今日は先生に早めに見てもらいましょう。」
ということで、いつも夕方の診察が俺だけ午前中になった。
午前の点滴が終了した10時30分ごろ診察に呼ばれる。
いつものように診察ポーズを取る。先生が来る。
「じゃ、ちょっと見てみましょう。」
といいながら、何やら棒状の物を肛門へ突っ込みだした。
「痛ぃ、痛ぃ、痛ぃ、痛ぃ、痛ぃ、痛ぃ、痛ぃ、」
思わず声が出る。物凄い痛み。(痛い度:120 注.100点満点)
入院してから最悪の痛み。何処まで、突っ込むんじゃぁ!
と、棒を抜きながら先生が言う。
「まだ、便が降りてきてないな。」
え、まだ便が降りてない?と思いながらこの検査、あれだ。ホットケーキの焼
き上がりを調べるために爪楊枝をホットケーキに刺し、爪楊枝に付くかどうか
見るのと一緒だ。棒状のものを肛門に刺し、便が先につくかどうか見てる
わけだ。・・・俺はホットケーキかぃ!
「座薬入れよう、座薬用意して。」
と先生が看護婦さんに指示を出す。程なくして、先生が座薬を肛門へ突っ込み
だした。
「痛ぃ、痛ぃ、痛ぃ、痛ぃ、痛ぃ、痛ぃ、痛ぃ、」
今度は声だけでは済まず、診察台をこぶしでバンバン殴ってしまった。
異常な痛み。(痛い度:130 注.100点満点)
入院してから最悪の痛みをほんの1分ほどで更新した。
「はい、いいですよ。30分は我慢してね。」
我慢?何を?あぁ、そうか、今の座薬は下剤か。
「トイレで出たら、呼んでください。便をチェックしますから。」
と看護婦さん。
痛みでまともに歩くこともできず、よろめきながら病室に戻り、ベッドに横になった。
ベッドで休んでいると20分ほどして、いきなり腸が動き出し、今度は左腹が
猛烈に痛み出した。(痛い度:70)大慌てでパットとテープを持ち、トイレに
駆け込んだ。
けつ痛い、腹痛い、けつ痛い、腹痛い、けつ痛い・・・とキチガイのようになって
いたら、まる二日分、大量の便が出た。何がなんだか分からない状態だった。
看護婦さんを呼ぶ。俺の便を見て、
「たくさんでましたね。良かったね。」
と言いながら水を流した。
術後初便と思えないほど大漁。さすがに、お腹がスッキリした。
その後、風呂にも入り、かなりスッキリした。
それから、毎食後飲む、軽い下剤を処方された。
2、3時間は調子が良かったが、家族が見舞いに来る頃は、肛門が物凄く痛んだ。
ボルタレンが効かない。今日は、ベッドに横になりっぱなし、そのベッドに
子供がちょいとぶつかるとその振動で痛い。今日も早々に帰ってもらった。
夕食後、トイレへ。座薬効果の残りか、ガスといっしょに少量の滓便が出る。
すると、今までの痛みが嘘のように消えた。どうやら、おならが降りてくる
だけで、痛みを感じるようだ。なるべく、おならもするようにしよう。
こうして、入院最悪の一日が終わった。
