3.発病

 

そして、今から7年ほど前。

いつの間にやら、肛門の左側おしりに硬いシコリがあることに気づいた。

「なんだ、こりゃ?」

押すと、肛門に違和感を覚えるが、別に痛いわけじゃない。当時俺が「しこり」で 心配したのが、なんらかの「癌」。でもなんだ?ケツ癌?聞いたことねぇぞ。

今思うと、このしこりは肛門周囲膿瘍が発病したものだった。

それからまた何年も放置状態になったが、今から3年ほど前。この「しこり」が おしりを何かにぶつけた時などに、痛むようになってきた。

「なんだ、こりゃ?」

・・・

「そりゃ、痔ろうだよ。」
会社の喫煙所で、「外痔核」経験者の同僚にたまたまこの症状を話したところ、 その彼が即断で、上のせりふ。
「え、だって、痔って肛門でしょ?俺固いのは肛門の左のおしりだよ。」
「そう、それが痔ろう。腸から細菌が入って膿の道を作り、最後にはおしりに  穴が開く。」
「うっそー?」

・・・

嘘ではなかった。今から2年ほど前。

このしこりが、膿んで、「おでき」の状態になった。
余談だが、俺は思春期の頃ほとんど「にきび」ができず、そのかわり、背中や 腰に何度も「おでき」を作っていた。おできが膿むととても痛く、でも、膿みが 出るとすぐに楽になった。当時、おできができるとお袋が「たこの吸出し」という 膿みを出す軟膏を塗ってくれた。「たこの吸出し」は良く効いて、大体一晩か二晩 で膿みが出、おできは楽になったもんだ。
「この肛門横のおできも膿みが出れば楽になるに違いない。」
嫁さんに「たこの吸出し」を買ってきてもらい、塗ること数日。膿みが出た。 が、おできと大きく違うのは、膿みが出ても直らないこと。膿みの出た周辺の 痛みが消えない、膿みの芯が出きらない、直らない。

今考えると、この頃、膿みの穴が開いたことで、めでたく肛門周囲膿瘍から痔ろうに 進行した訳だ。

それから、今年の初めまで、

患部が膿む。->穴が開く。->膿みが出る。->穴が塞がる。->患部が膿む。
というサイクルを幾度となく繰り返していた。患部が膿むと座るのにも激痛、 歩くのも痛い、という状態になり、でも、膿みが出ると楽になる。本当に何度も この繰り返しで、このまま、うまく痔ろうと付き合っていけばいいのかな、と 思っていた。