その昔、中学一年生の頃(その頃からレコードを買い始めたのです。)、洋楽
のLPレコードは、LP1枚\2,300でした。その後、\2,500となり、最終的には
\2,800まで行ったのかな?ちょっと記憶曖昧。
1970年代の中学生にとって、\2,500というのは如何に大金だったか。想像が付く
でしょうか?簡単に言うと、正月のお年玉、誕生日やクリスマスのプレゼント、
親戚などからの臨時お小遣いがなければ、レコードは買えなかったということです。
ということは、当然何か1枚を買うに際しては、めちゃくちゃ決心が必要でした。
買ってしまって趣味と合わず「外した」ら、もう、後悔で立ち直れないくらいです。
逆に、趣味と合わなくても決して「外した」と思わず、一生懸命聞き込んで、無理矢理
にでも「これ、いいじゃん。」と思わなければならなかった、そんな時代でした。
たまーに、2枚組なんか欲しくなると、もう悲惨です。当時は\5,000くらいしました
からね。単純に決心も吟味も後悔も倍。
その分、やっぱり買った1枚のLPと言うのは、宝物でしたね。今のCDと違い、ジャケット
も大きく、重量感もあり、大切に大切に聞き込みました。いや、実際にはターンテーブル
に載せるのは1回だけ。その1回でテープに録音し、テープを聴いてました。
何度も針を乗せると劣化して音が悪くなるというので。
時は流れ、CDの時代到来。初めてCDの音を聞いたときは、針のスクラッチノイズが
全くせず、本当に驚きました。またその収録時間の長いこと。LPはだいたいが45分
程度。がんばって60分くらい。それも途中で盤をひっくり返す必要があります。
それが今では80分が1枚のCDに入ってしまいます。
つまり、昔の2枚組LPが1枚のCDに収録できたりします。加えて現在、洋楽の輸入盤CD
の安いこと。HMVとかでキャンペーンやっている時に買うと1枚\1,580とかで買えたりします。
TowerRecordでも昔の作品のCDは1枚\1,690だったり、最近では\1,380で売っていたり
します。とどめはクリアランスセールで1枚\500とかあったり。
それに反比例して、こっちは就職してそれなりの収入があったりしますから、
アルバム1枚の単価が相対的にめちゃくちゃ安くなったわけです。中学生の頃から
比べると感覚的に五分の一くらいです。(もっとかなぁ。)
当然、多くのCDを買うことになります。「外し」てもそんなに気になりません。
一度に3枚くらい買って聞き流すなんて事もよくあります。自分が今持っているCDの
中で曲名を言えない(覚えていない)アルバムもごろごろあります。
・・・・それって、良い事なんでしょうか?作品を作っているミュージシャンにしてみれば
中学生の頃の俺の聴き方の方が嬉しいんじゃないでしょうか?どこかのオーディオマニア
みたいに「アナログレコードの方が音に深みがあって断然良いんだ。」なんてことは
毛頭思いません。たくさんの色んな音楽を聴きたい俺みたいな人間にとっては本当に
良い時代になったと思います。だけど、1曲を大切に聞き込むって事を今の俺は忘れ
てしまっているのでは?
今日、会社の帰り、1枚\1,380のCDを2枚買って帰りました。そのうち1枚はLP時代
2枚組のアルバムでした。そのCDを聞きながら、上に書いたようなことを思ってしまいました。
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