私には、一人、姉がいます。そもそもわっ!
QUEENは姉貴が好きだったんじゃねぇか。その影響で俺も聴き始めて、のめり込む
までにはそんなに時間を必要としなかったですね。
−戦慄の王女−
[QUEEN / 1973]
デビュー曲「Keep Yourself Alive」を擁するデビューアルバム。発表当時はLED ZEPPELIN
と比較されたそうな。「Lier」なんて曲は後のアルバムで個性として確立される「展開が
ころころ変わるロック組曲」の趣がすでにありおもしろいです。ただ、後の曲は結構地味。
楽曲のクオリティとしては申し分無いが、セカンド以降のQUEENを期待して聞くと「なんか
違う。」っていう感が否めない。最後に、セカンドにも入っている「Seven Seas Of Rhye」
が短いインストナンバーで収録されています。
−クィーンII 〜ホワイトクィーンとブラッククィーンの啓示〜−
[QUEEN II/ 1974]
セカンドアルバムですでにどえらい世界を作っています。まず、ジャケ写最高。このヴィジュアルを、後の「Bohemian Rhapsody」のプロモ・フィルム、
果ては12年後の「A Kind of Magic」のプロモ・ビデオまで引っ張ってくるとこがすごい。
A面をホワイト・サイドと名付け、1曲を除きブライアン・メイの曲が占め、B面をブラック・サイド
と名付けフレディ・マーキュリーの曲で占めています。B面の怒濤の曲構成は非常にクオリティ
高く、私的にはBeatlesのホワイトアルバムあたりの影響を感じます。この頃のQUEENサウンドは
「音の洪水」なんて表現されていました。ファーストの最終曲「Seven Seas Of Rhye」が
セカンドも最終曲で、ボーカル入りで収録されています。この曲、最後にふざけたメロディ
ラインのコーラスで幕を閉じるのですが、それがまたサード・アルバムに続くあたり、
遊び心も含め、非常にコンセプチュアルなものを感じさせます。
−シアー・ハート・アタック−
[Sheer Heart Attack/ 1974]
そして「Killer Queen」を擁するサードアルバム。オープニング「Brighton Rock」は
遊園地のSEから始まるのですが、セカンドアルバムの最後に入っていたふざけたメロディ
が口笛で入っています。このアルバムあたりから、ハード一辺倒ではなく、バラエティな
曲構成となります。「Killer Queen」はQUEENの「ポップさ」を表現した初期の名曲で
初めてアメリカを含め世界的なヒットを飛ばし、トップグループの仲間入りをします。
一般的にQUEENの最高傑作というと続く4枚目なのですが、QUEENをリアルタイムで聞い
ていた人の中には、「Sheer Heart Attack」が一番好き。という人が多いです。
−オペラ座の夜−
[A Night At The Opera/ 1975]
一般的に言って、QUEENの最高傑作。僕も個人的に大好きです。前作からの特徴である
「バラエティ」さを、もう一段階押し進め、また、曲間を意図的に短く取ってメドレー
のようにたたき込む感じで曲が詰め込まれています。コーラスの多重録音もここに極まり
B面の1曲目なんて、フレディ何人居んねん。そして、大大大傑作、いや、QUEENの、いや
70年代の大傑作である「Bohemian Rhapsody」が収録されています。この曲、兎に角、
当時中学生だった私に、とてつもない衝撃を与え、今だに私の「人生BEST3」に入る曲
です。6分間の間に、バラード、オペラ、ハードロックと表情を変えるこの曲は、
あの頃のQUEEN、あの頃のフレディにしか作れなかった、ある種の奇跡だと思っています。
−華麗なるレース−
[A Day At The Races/ 1976]
実は、本当にリアルタイムに初めて入手したのがこのアルバムでした。冒頭にも
書いた通り姉が買ったLPです。その為、思い入れも深いのですが・・・
このアルバムはタイトル、ジャケットからして全作の続編であるといえます。
収録曲も「Bohemian Rhapsody」->「Somebady To Love」と言った具合に、
「この曲は全作で言うとあの曲だよね。」と言う続編じみた関連性を感じる
事ができます。
全世界で最初にブレイクしたのが日本ということもあり、QUEENは日本に感謝の念
を込め、日本語の歌詞の入った「手をとりあって」という曲も収録されています。
そんなこんなで当時ものすごく好きなアルバムでしたが、今、冷静に評価すると
アルバムトータルとしてのクオリティと言う面では全作に1歩譲ります。
−世界に捧ぐ−
[News Of The World/ 1977]
また個人的な思い出になってしましますが、中学3年生の頃、夜中に高校への
受験勉強もせず、ヘッドフォンをしながら良く聴いたアルバムです。ターンテーブル
に乗せた回数は一番多いです。
「We Will Rock You」と「We Are The Champions」というA面冒頭の2曲が異様に
有名ですが、歌詞を見ながら感動を誘うのは「All Dead」、「It's Late」といった
曲でした。相変わらず曲はバラエティに富んでいるのですが、サウンド面で少し
変化があります。全作までの「音の洪水」からすこしづつシンプルな音へ移行して
来ています。疲れずに聞き易いアルバムかも知れない。
−ジャズ−
[Jazz/ 1978]
「イービラヒーィーム」という中近東風のフレディのボーカルで幕を開けるこの
アルバム。70年代最後のスタジオ作品ということもあり、なんだか余裕を感じさせます。
「Fat Bottomed Girls」が秀逸。ヒット曲である「Bicycle Race」にちなみ、オール・ヌード
の多数の女性がトラックで自転車に乗りRaceのスタートラインに並んで知るという
ポスターが内包されていました。アルバムの内容は本当にバラエティに富んでいて、冒頭の
中近東風、ハードロック、ピアノバラード、アコースティックジャズ風、ポップ、あらゆる
要素が高い次元で収録されています。
−ライブ・キラーズ−
[Live Killers/ 1979]
そして70年代を締めくくるかのように、初の2枚組LIVEアルバムを発表。すでにヒット曲を
多数出していたことから、LIVEベストの趣があります。
これまでのQUEENサウンドの特徴は、「スタジオで多重録音を駆使し、作り上げた音」
ですが、LIVEでは基本的に4人の演奏とコーラス。スタジオ版の再現を期待すると、
その完成度は全く及びませんが、演奏のスピード感、ノリは素晴らしく、LIVEバンドと
してもその実力が高いと言う事が分かります。
−ザ・ゲーム−
[The Game/ 1980]
大げさなコーラス、ころころと変化する曲展開、静と動、なーんて感じだったこれまでの
路線から、小粒でシンプルなロック、ポップスに変換したアルバムといわれています。
特に、ヒットした「愛という名の欲望(Crazy Little Thing Called Live)」はロカビリー、
「地獄へ道連れ(Another One Bites The Dust)」はブラコン、
というアメリカを意識した売れ線狙いの印象があります。でも他の曲にはクィーンらしい
曲があり、アルバム単位での質も低くはないです。その証拠にアメリカでは初のNo.1を
Getしました。
ただ、昔はシンセサイザーを使用していないことを誇りとし、アルバムジャケットに
わざわざ「No Synthesizers」と明記していたのに、このアルバムからはシンセ解禁と
ばかりに使用しまくっており、往年のファンには、クィーンを遠ざける結果となりました。
−フラッシュ・ゴードン−
[Flash Gordon/ 1980]
B級SF映画のサウンドトラック。2曲を除いてはすべてシンセを使用した効果音の
ようなインストナンバー。聞く価値なし。
−ホット・スペース−
[Hot Space/ 1982]
[The Game]からブラコンナンバーがヒットしたことで、その路線を推し進めようと
したのがこのアルバム。相変わらずクィーンらしい曲も入っているものの、1曲目の
イントロのシンセベースが刻むリズムを聞いたとたんに、「これ、誰?」と
言ってしまいたくなります。
セールス的には失敗に終わり、この路線はこのアルバムだけで終わってしまいます。
ただ、個人的にはデビッド・ボゥイとの競作[Under Pressure]が入っているなど、
好きなアルバムでした。
−ザ・ワークス−
[The Works/ 1984]
前作の失敗から、路線修正を余儀なくされたクィーンは、従来のハードロック、
ポップス、そしてNew Waveサウンドを軸にアルバムを作り上げます。時代は80年代
真っ只中って訳で、New Wave 的な[Radio Gaga]でアルバムの幕を開けます。この曲は
MTVの影響からヒットもしました。ただ、私のような往年のファンは「もう、いいや」
って感じで、これからしばらくクィーンを聴かなくなりました。
−カインド・オブ・マジック−
[A Kind Of Magic/ 1986]
収録曲のほとんどが、2本の異なる映画のサウンドトラック用に書き下ろされたらしい
のですが、[Flash Gordon] とは大きく違い、QUEENのオリジナルアルバムとして
成り立っています。前作で「もう、いいや」と思った私は、このアルバムは、リアルタイムで
聴きませんでした。アルバムのでき自体は決して悪くないと思いますが、
初期のサウンドを期待しては、ガッカリします。
−ザ・ミラクル−
[The Miracle/ 1989]
このアルバムは良いです。1曲1曲の質が高く、ハードな曲はよりハードに、
ファンキーな曲はよりファンキーに仕上がっていて、アルバム全体通して
退屈はしません。一説によると、フレディがHIVキャリアと知って初めて製作された
アルバムだとか。そんなことを知る由も無い私は、何年かぶりにQUEENのアルバムを
はじめてCDというメディアで買って、「あ、昔ほどじゃないけど、結構良いじゃん」
なんて思っていました。
−イニュエンドゥ−
[Innuendo/ 1991]
このアルバムが出る少しまえから、QUEENのアルバムを聞かなかった時代を含め
CDで集めようと思い、私の中で、何年ぶりかのクィーン・ブームが起こっていました。
そんな中、New Albumが発売され、嬉々として購入し、聞いていました。
楽曲は悪くないのですが、どうも、シンセサイザーの使い方が好きになれず、
それほど評価していなかったアルバムです。
今となっては、冷静にこのアルバムを評価することができなくなりました。
フレディや他のメンバーの心情を想像すると、どうしても感傷的になってしまいます。
−ライブ・アト・ウィンブリー−
[Live At Wenbley '86/ 1992]
フレディの死後、結果的に最終ツァーとなった86年のツアーを
地元ロンドンのウェンブリースタジアムでのLIVEという形でまとめ発売されました。
内容はヒット曲満載のLIVEベストといった趣です。
QUEENにとって、ウェンブリースタジアムは思い入れが強いのでしょう。
ツアーをやめていた時期に、LIVE AIDに参加し、他の出演者を喰いまくったのも
ウェンブリー。LIVE AIDでのギミックなしの20分間のステージで、メンバーは再び
自信を取り戻しツアーに出たと言われています。そしてまた、フレディの死後、
All Starを集め追悼コンサートをやったのもウェンブリースタジアムでした。
−メイド・イン・ヘヴン−
[Made In Heaven/ 1995]
フレディの死後、フレディの残したヴォーカルトラックに残りの三人が
演奏を入れ、最後のオリジナルアルバムとして発表されました。
ただし、他の曲はフレディや他のメンバーのソロ曲をクィーン名義で再録した
「寄せ集め」となっています。
「フレディの残したヴォーカルトラックに、云々・・・」というエピソードを
聴いただけで、感傷的になってしまい、これまたまともに評価することが
できないアルバムです。
その後も、発掘LIVEやら、新装BEST盤やらが発売され、その都度売れまくっているのを
見てると、古い世代の、リアルタイムファンは複雑な気持ちです。今のクィーンブーム
って、好きじゃないです。
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